帰ってきたゴジラ

私たちの、人類の敵が帰ってきた。


私は小さいころウルトラマンになりたかった。怪獣たちをバッタバッタとなぎ倒すその姿はまさに漢の中の漢である。


しかし、ウルトラマンに限らず、ヒーローが怪獣をやっつける、というお決まりの展開が続くと、ヒーローに飽きがくることがある。ヒーローが強すぎるという展開は、見てる方にも飽きがくるものだ。


そのため敵の怪獣たちは毎回個性的でそれなりにヒーローを苦戦させるものが登場する。中にはヒーローではなく怪獣を応援してしまうような魅力的な怪獣たちもいる。


今回のシン・ゴジラはというと、ヒーローはもちろう人間たちだ。そして敵はゴジラ、だけではない。

人間もまた人間の敵であるために、今回のシン・ゴジラにアクセントを加えている。

シン・ゴジラに登場するゴジラとは、まさに現代の世界に起こりうるすべての天災、人災の化身である。つまり、ゴジラそのものによる破壊だけでなく、米国による圧力と国民保護との間で板挟みになる2代目総理の苦悩などもまたこの物語に登場する敵であるのだ。

今作に登場するゴジラは歴代最高の絶望感を人々に与えたと言ってもよい。ゴジラが熱線を放出するシーンでの無力感は言葉では言い表せないほどである。また真っ暗な夜に一筋の閃光が現れすべてを燃やし尽くすその光景には美しさがあり、無力感と美しさが同時に存在するシーンはまさに必見である。

今作は賛否両論あるが、私的には満足のいくものであった。